会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2020/07/09


 坂本工業では、年次有給休暇(以下、「年休」という)について時間単位で取得できるようにしたいと考えている。そこで、時間単位年休を導入する際のポイントを確認することとした。

 来年1月から、年休を時間単位で取得できるようにしたいと考えています。というのも、以前から、従業員の要望が多かったことに加え、2021年1月より子の看護休暇と介護休暇の時間単位取得が始まることから、年休も併せて時間単位で取得できるようにしてもよいのではと考えたからです。この時間単位年休を導入する際のポイントについて教えてください。

 なるほど。そのような理由で来年1月からの導入を検討されているのですね。御社同様に対応される企業も出てくるのではないかと思います。時間単位年休を導入することで、年休は取得しやすくなりますが、時間単位年休の導入について、初めに注意点をご説明しておきます。2019年4月より始まった年休の5日取得義務について、時間単位で取得したものはこの5日にカウントできません。

 カウントできないのですね。となると今後、1年に5日の年休が、時間単位取得分を除いて取得できているかを確認しなければなりませんね。

 そうですね。それでは、時間単位年休を導入する際のポイントを説明しましょう。導入する際には、労使協定を締結する必要がありますが、その労使協定では以下の4つの取扱いを決め、定めておきます。

  1. 時間単位年休の対象者の範囲
  2. 時間単位年休の日数
  3. 時間単位年休1日の時間数
  4. 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

 様々なことを協定しなければならないのですね。

 そうですね。順番に解説しましょう。
 1の「時間単位年休の対象者の範囲」ですが、時間単位年休を取得できる従業員の範囲を定めます。時間単位年休は従業員全員に認める必要はなく、従業員の範囲を限定して導入することも認められています。ただし、事業の正常な運営との調整を図る観点から労使協定でその範囲を定めることになっており、例えば製造業のラインのように、一斉に作業を行うことが必要で、時間単位年休の取得がなじまないような場合に対象から除外することが認められます。

 事業の正常な運営が可能であるかの検討をして、対象者を決めることができるのですね。

 そのとおりです。2の「時間単位年休の日数」ですが、そもそも時間単位で取得できる年休の上限は法律で1年に5日が限度とされています。そのため、1年当たりの時間単位年休の日数を5日以内で決定します。現実的には、時間単位年休が導入されている会社のほとんどで5日と定められています。

 従業員にとっては5日に限らず、時間単位年休で取得できる日数を多くした方が、メリットがあると考えていたのですが、制限があるのか、なるほど。

 そうですね。そして、3の「時間単位年休1日の時間数」は所定労働時間数を基に決定します。1日の所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は、1日単位で1時間単位に切り上げることになっています。そのため、所定労働時間が7時間30分の場合、時間単位年休の1日あたりの時間数は8時間となりますね。

 なるほど、1日単位で考えるのですね。当社の所定労働時間は午前9時から午後5時30分までの7時間30分(休憩60分)となっているため、1日あたり8時間とすることになりますね。

 はい、そのように考えます。最後に4の「1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数」ですが、時間単位年休が取得できる最小取得単位時間は、1時間とされており、例えば30分単位のように、1時間未満の時間を設定することはできません。その一方で、2時間単位など1時間を超える時間を単位とすることが可能です。このように1時間以外の単位にするときには、その時間数を協定することになります。

 いまのところ、1時間単位での取得を検討していますが、従業員の要望として、例えば、午後4時で業務を終了し、1時間30分の時間単位年休を取得することが想定されますが、これはできないということですね。

 そうですね。1時間30分という時間を決めることはできません。1時間単位とするのであれば、終業時刻からさかのぼって、取得したい時間数を1時間単位で指定してもらう形になりますね。

 よくわかりました。実際に運用した場面を想像して制度を作り、労使協定を締結しようと思います。ちなみに、締結した労使協定を労働基準監督署へ届け出る必要があるのでしょうか?

 届け出の必要はありません。時間単位年休は休暇に関することですので、就業規則にも時間単位年休の定めが必要となり、就業規則は変更した場合に届出が必要になりますね。また、日単位と時間単位それぞれについて取得数と残数を分かりやすく管理する方法を検討しておくことも重要ですね。

 わかりました。管理方法も含めて検討してみます。

>>次回に続く



 今回は時間単位年休を導入する際の注意点をとり上げましたが、この労使協定を締結しないまま、時間単位年休の取得を認めていたり、限度日数の5日を超えて時間単位年休の取得を認めていたりするケースを稀に見かけます。このような取得については、厚生労働省が出しているQ&A「改正労働基準法に係る質疑応答」(平成21年10月5日)Q29に、法的な年休の取得として扱われず、法定の年休の残日数は変わらないと記載されています。そのため、労使協定が締結されているか、限度日数の5日を超えて認めていないを確認して、適切な取扱いをしましょう。

■参考リンク
厚生労働省「労働基準法が改正されました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roukikaitei/index.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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