今後の法改正など
2025/7/4 更新
近年、労働法関連の改正は非常に活発で、2024年は育児・介護を中心に法改正が行われ、2025年に順次施行となります。
現在も労働時間関連の制度見直しや、社会保険加入の壁撤廃の方向性も示され、今後も動向を注視する必要があります。
また、ページ下部には最近施行された内容も示しておりますので、対応の漏れがないかご確認ください。
「より詳しく知りたい」「対応に困った」などありましたら、まつした社労士事務所までお問い合わせください。
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2025年施行 育児・介護にまつわる改正についてはこちら
【2024年4月,2026年7月】 障害者法定雇用率の見直し
従業員が一定以上の事業主は、障害者法定雇用率以上の障害者を雇用しなければなりませが、 この雇用率も段階的に引き上げられることになっています。
2024年4月 2.5%(従業員40人以上に対して1人以上)
2026年7月 2.7%(従業員37.5人以上に対して1人以上)
障害者雇用に関しては他にも、2024年4月より算定方法が変更になります。
週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者を1。 10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について0.5とカウントできるようになります。
また、2025年4月からは就業困難職種における雇用義務の軽減における除外率も10%引き下げになります。
法律で必要だからと準備をせず障害のある方を雇用すると、定着が難しいこともあります。
初めて雇い入れをする場合には、従業員への説明・勉強会を開催するなど予め受け入れ準備をしておきたいところです。
参考リンク
障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について
【2024年12月2日】 健康保険証の廃止
保険証の新規発行が廃止され、マイナンバーカードと健康保険証が一体化したマイナ保険証へと移行されます。 現行の保険証も1年は引き続き利用が可能です。ただし転職等で1年を待たず現行の保険証の利用が終了した場合はその時点までです。
マイナ保険証を保有しない方には、保険証の代わりとして利用できる資格確認書が保険者より発行されますが、マイナ保険証の機能である医療費の軽減や、高額な医療費が発生する場合の手続きが発生しなくなるなどのメリットは受けられないことに注意してください。
2024年12月2日以降の1年間は
「既存の保険証」「マイナ保険証」「資格確認書」の3種が混在する時期が出てきます。
従業員とその扶養家族がどれを利用しているのかにより、取得・喪失時の手続き内容も変わりますので、丁寧に確認する必要があります。
別途、「資格情報のお知らせ」を受け取っている方も多いかと思います。
病院受診時に機械トラブルでマイナ保険証が使えないなどのときに、マイナ保険証と併せて提示することで受診ができるため、大切に保管するようにしてください。*マイナポータルで代用することも可能です。
(資格情報のお知らせの送付時期等は保険者により異なります)
参考リンク
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用について協会けんぽ これからは医療を受けるならマイナンバーカード
【2025年12月】 所得税の基礎控除等の見直し
税制改正による基礎控除や給与所得控除の見直し、特定親族特別控除が新設されます。
12月の年末調整やそれ以降の事務業務への影響があります。
労働者の状況の確認や、給与ソフト等の設定見直しが必要になってきます。
参考リンク
【2028年10月】 雇用保険の適用拡大
雇用保険の加入要件が変更されます。
現行の週所定労働時間20時間以上のところ、週10時間以上に引き下げられます。
これにより、各種手続きの算定基準も現行の1/2に改正されます。
例えば、失業給付を受給中に労働した日が1日2時間以上(改正前4時間以上)ある日は、その日は失業している日とは認定されません。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
近年実施された改正等
【2023年12月】 アルコール検知器によるアルコールチェックの義務化
2022年4月より安全運転管理者に対して、運転者の酒気帯びの有無の目視による確認が義務付けられました。 さらにアルコール検知器での確認も昨年施行予定でしたが、アルコール検知器の不足もあり延期となっていました。
従来より緑ナンバーの事業用自動車の運転者には義務付けられていましたが、 今回より自動車5台以上(乗車定員11名以上のものは1台以上)を使用する事業所の白ナンバーの運転者にも適用されることになり、営業等での使用にもチェックが必要ということになります。
アルコール検知器の導入、チェックの方法など運用ルールの整備・周知、記録の方法など準備しておく必要があります。
【2024年4月】 時間外労働の上限規制猶予が終了
働き方改革の一つとしてすでに導入されました時間外労働の上限規制ですが、 これまでその適用が猶予されていた建設事業・自動車の運転事業・医師もいよいよ規制の対象になります。 建設業については時間外労働の上限規制がすべて適用になりますので、月45時間、年間360時間以内となります。
*特別条項の上限は1年720時間、月100時間未満(休日労働含む)、2〜6ヶ月平均80時間以下(休日労働含む)
また運転事業では上限が年間960時間に制限されることになり、拘束時間や休息時間も変更になります。
ただし月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内、45時間越えは年6回までとする一般則の制限は適用されません。
医師については水準により異なり、A水準は年間960時間、月100時間未満(例外有)、B,C水準(連携含)は年間1,860時間、月100時間未満(例外有)となりますが、いずれ960時間になることが目標として掲げられていますので、継続して労働時間の削減に取り組み続ける必要があります。
参考リンク
時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務
【2024年4月】 労働契約関係の明確化・無期転換ルールの見直し
労働条件通知書や労働者の募集時における明示の内容が変更されます。
・労働条件の明示事項に、通算契約期間・有期労働契約の更新回数の上限、就業場所・業務の変更の範囲を追加
・無期転換申込権が発生する場合、労働条件の明示事項に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を追加
従来は雇い入れ時の条件を示せば事足りていましたが、今後はその後の変更も加味した内容が求められます。
特に今回は有期労働契約者に対する変更が多いのがポイントです。
労働条件通知書の定型様式を利用している場合はその内容の確認もしておきたいところです。
参考リンク
令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
【2025年6月】 熱中症対策の義務化
労働安全衛生規則が改正され、職場での熱中症の早期発見、重篤化を防ぐための取り組みが義務化となります。
熱中症と疑われる事象発生時のフローを作成して、職場内で共有しておきましょう。
参考リンク
職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行)職場における熱中症予防情報